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映画『ラスト、コーション』

先日、アン・リー監督の最新作『ラスト、コーション』を見に、コルトンプラザまで行った。バーゲンも一段落とあって、ショップゾーンはまばらな人だったが、映画館ゾーンにはチケットを求める人の列! ネットでチケットを買っておけばよかったと、ちょっと後悔する。少し並んで、お昼を食べて、いざ、映画館へ。前回の『ブロークバック・マウンテン』が秀作だったので、今回も大変期待していた。

映像は前作同様大変美しく、陰影やシンボリックなカメラワーク、忠実に再現された香港や上海の風景、そして、主演女優のチャイナドレスがとっても素敵。主演のタン・ウェイは、最初はもっさりした女子学生として登場するが、マイ夫人に扮するとフルメイクで上等な衣装を着て、全く別人のように美しく、マイ夫人を完璧に演じる。トニー・レオンは、今回老け役なのと気難しい役柄なので、以前の印象とは全く違ってとっても渋い。この二人の関係を軸に、話は進んでいく。各エピソートはそれぞれ大変丁寧に撮影されており、2時間30分間、ずーっとひきつけられる。私は夫人たちが暇な時間をつぶすために麻雀をするシーンが大変緊張した。主人公のワン・チャチーの身元がばれたりはしないかとヒヤヒヤだったし、本人も緊張しているため麻雀は負け続ける設定なのだ。
(ここから、ネタバレ注意!)
だが終盤に近づくにつれて、だんだんと物語の方向性が見えてくる。そして、あっという間の幕切れで、はっきりいって、「そんだけ〜?!」って結末であった。もうちょっと、何かあってもいいんではないか、と思う一方、こうするしかしょうがないのかな〜と思ったり、納得感があまり得られない感じが残ってしまった。まあ、物語を平たくいえば、抗日運動を思いついた大学生たちが、その危険さもあまり認識しないまま、危険な橋を渡ってしまって、抗日グループに利用される形で命を落とす、という、お間抜けなお話なのだ。
また、タイトルが英語のカタカナ表示になっているが、日本人には「?」ではないだろうか。中国語のタイトル『色、戒』のままの方が、感覚的にわかりやすいと思う。
セックス描写が話題の一つにもなっているが、この作品が中国本土で上映されたことのほうが、画期的な出来事といえよう。中国も様々な市場開放を進めており、以前では本作品の上映などは考えられない。監督は、「主演女優はお嫁に行けないでしょう」と、コメントしたとか。
最後に、この話の原動力が抗日運動の一端である、ということは、日本人としては忘れてはならないと思う。日本人は、戦時中の一般国民の苦しさだけをともすれば強調しすぎだが、日本帝国軍が中国で行ってきた酷い統治政策は、正しく認識すべきだと思う。

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